飲んだくれ日記(弐七)



老舗メーカーが去る、これからの釣具業界


私が近年、メーカー様の廃業で残念に思ったのは、1990年代後半のブラックバス

ブームで一気に増えた釣り人達(トラウト・ソルト・BB・餌・ルアー・フライ、他)を、

一応は21世紀まで導いてくれた老舗のブランドの数々ですかね。



    (↑写真:山形県) Coatac, CONDEX 3g : ヤマメ


「ufmウエダ」

私は未購入ですが、ボロン製や新設計のカーボンテーパーなど、超高級・高性能な

名竿の数々を世に送り出して、今の現役の間でも深いファン層を形成しています。

何故廃業・・・? 資金繰りだけではない、様々な事情もあったようですが・・・。

私の手中に一度も収められず、廃業が残念でなりません。



「Coatac」

フライロッドの入門に最適なcomaシリーズや、渓流の名スプーンのCONDEXシリーズ、

私が初めて釣った岩魚を掛けたのが、そのコンデックス岩魚スプーン(銀)5gでした。

リーズナブル&渋めの事業展開で、とても好きだったんですけどね・・・。



「SAURUS」 ※ブランド名は再起済み

ブラックバス界で名を馳せた(株)スポーツザウルスは、私の場合はオフショアゲームの

トップブランド。特に強度が求められる頑丈なツールには絶対の信頼性がありました。

天然皮のグローブやプライヤーなどの他、優秀なメタルジグの数々にもお世話に。

ボロン製のシーバスロッドなどにもファンが多いイメージでしたね。・・・高価でしたが。





(思うこと)

老舗メーカーの廃業や、新たなメーカー・ブランドの隆盛する混沌の釣具業界で、如何に

流行りに乗って売り抜けるか?そこが商売の岐路になっている現状に不安を覚えます。


エリア全盛の管理釣り場ブームや、ソルトルアーの細分化によるライトタックルブームなど、

注目する潮流は確かにありますが、既存の釣種やカテゴリーを、再び盛り上げる努力も

惜しまないで欲しい、今日この頃。

・・・メーカーさん、新釣種を流行らせて売って、廃れたら次の流行の創出ですか?


弊害として、特にフライフィッシングなどは、ベテランとの実釣で技術を身につけた若者は

殆ど現れなくなってしまった感があります。



「雑誌や本の知識と、管理釣り場でキャスティングを覚えて渓流に来ました!」



何時の日か、そう云う会話が渓での標準になってしまわないか心配ですね。


ベテランが後輩を1年かけて育て、渓の楽しさを共有しつつ序ノ口から序二段を経て

やっと独り立ちさせる、そして知らぬ間に経験を積んだ対等の仲間へと・・・。

そんな渓流の光景が多くなれば、フライフィッシングの世界も継承されていくはずです。


まぁ、エギングやアジングにも色々思うところがありますが、それは別の機会にでも。











当サイトの未確認・未解決レポート(1)



    (↑写真) 栃木県 鬼怒川水系 : K松氏


1.福島県 四時川 大ヤマメ45cm超

現地情報でダム遡上の大型ヤマメをキャッチした人が、それを剥製にしたとのこと。

幾度かチャレンジしましたが、私にはリリースサイズしか釣れませんでした。



2.那珂川 サクラマス

茨城県 千代橋(せんだいばし)〜栃木県 烏山〜黒磯まで広域に棲息するそうですが、

那珂川の大ヤマメはとても難しい。寒井地区〜余笹川合流とか、有名場所でも撃沈。

あー、でも30cm程度の尺ヤマメなら結構釣りました。



3.茨城県 筑波山 尺イワナ

筑波山麓のとある藪沢で、餌釣りの人たちが2〜3年毎に釣行すると・・・。

沢で育った尺イワナがバンバン釣れるとか。・・・場所も含めて都市伝説ですね。



4.茨城県北部 尺イワナ

これは茨城県北部の渓流で狙う場所があるんですが、私の知人が僅か1日で達成。

7月中旬、気温30度の山中で 33cm & 32cmのイワナが実釣されています。

その後に私もチャレンジしたかったんですが、時節的な機会がなく、現在未達成。



5.K松お師匠さん & K林隊長の渓流復帰日

私のフライフィッシングやアウトドアシーンで多大な影響を受けた偉大なる御二人。

・・・最近は、すっかりギャンブルの世界へと旅立ってしまいました・・・。

私に会うと、御二人ともに「今度、渓流行こうぜ!」という挨拶をされるんですが・・・。

復帰日は、もはや X-day とか D-day とか、私の脳内ではそんな扱いです。




(↑)こうして思い返すと、5件全てが私版 エックス・ファイル 的な様相ですな・・・。


   「モルダー、あなた少し疲れているのよ・・・。(=あたまがおかしいのよ)」


   ・・・スカリー捜査官の小言が聞こえてきそうですね・・・。笑











記憶が奮わせる渓の景色 (山形県 羽黒川 他)


昔好きだった景色や思い出の渓に、どうしても行きたくなって久しぶりに再訪を

すると、現地で不思議な感覚になることがあります。

その景色は18年ぶりでした。前に訪れた時は20歳位だったので、今は立派な

中年になっています。・・・まぁ、当時はシーバスがメインでしたけどね。

人生でも渓流釣りに興じていられる時間というのは、体力や健康上の理由から

凡そ40〜50年間でしょうから、その意味では、人生の半分を経てから再訪した

気持ちになりました。





かつて在った秘密の獣道は、すっかり自然の草藪に還っています。

それでも昔と同じルートに分け入ると、驚いたことに記憶の中にあった景色が、

同じ木々が、大岩、崖、沢、木漏れの陽の光りに至るまで、記憶から次々と

掘り出されたように、目の前に現実として蘇ります。


私はその全ての景色を記憶として覚えていたんですね・・・。


その後は、渓で時間が経つのも忘れて夢中で岩魚たちを追っていました。

気が付くと、崖や草を掴んだ手の指が笹切れで擦り傷だらけに・・・。笑





その景色から遠く離れて日常を過ごす茨城県の生活で、いくらその景色のことや

思い出の渓のことを懐かしく思ってみても、感情が奮えるほど高ぶることはないし、

昔に戻ったような感覚になることはありませんでした。


でも、かつて体験した大自然の中で、幾年後か、その懐かしい景色の中に再び

飛び込んでみたのなら・・・。

思わず若かりし時代の、その時の自分に心が戻ってしまいますな。笑


それは記憶というものが自分の存在するこの世界の、この世の何かに記録されて

いるからだと思います。


”いや、それは頭の中の大脳皮質のしわの一つだよ、過敏に思えるのは脳内電気

信号の起こす錯覚だよ。”


平凡な日常に埋もれてしまうと、現実的にはそう考える人が殆どでしょうけどね・・・。






でも、思考とかPC保存画像の閲覧では起こり得ない、その場所、その景色でのみ、

全身の五感によって蘇る記憶というのは、やはりこの世界に記録されている、その人

だけの特別な記憶なのだと思います。


今回、過去とつながることが出来た自分も、再びの日常生活を過ごす内に平凡な

中年に戻るのでしょう。


私が遠い場所にある、遠い景色や思い出の渓と未だにつながることができたのは、

自身がこの世界の何かに、きっと記録されているからです。











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