筆者:アングラー 鈴木 幹○







第1話 桑実の季節



あれは奥会津、只見川水系のとある支流の源流での出来事だった。

この日は釣友Yと行動し、岩魚が次々と釣れていた。


この時の渓流は川幅7〜8mで、両岸は河原が無く、斜面には

木が茂っていた。


途中、休憩しながら渓脇の斜面を見てみると野生の桑の木が、

実をたくさん付けている。



(そういえば昔、学校帰りに食べたな〜。桑の実。)



そんな事を思い出しながら、渓流釣りを楽しんでいた。



※養蚕(絹の原糸を作る)の葉餌にする桑であるが、その実は

食可で甘く美味しいのである。(現:30歳以上?)


しかし暫くしてから、その出来事は突然起きた!


釣友Yの後方、50m下流の川の中へ熊が跳び込んだのだ!

更に熊は凄い勢いで川をジャブジャブと波立たせ、土手を駆け

上がって行った。


その様子はまるで、鎖の離れたバカな飼い犬が土手を走り、

跳び回るのと同じ光景であった。その場所は数分前に釣りな

がら通過した所だったのだ。



もしも、50mほど下流に人間・自分が居たら。。。



年々増える熊被害。正直、鈍い熊なんかに遭遇しないだろう、

と思っていたが、それ以来、熊との接近遭遇は防げないな、と

考えるようになった。









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