筆者:アングラー 鈴木 幹○







第5話 夏の落雷と嵐



奥会津、只見川支流の源流域で釣行中のことである。

その日は午後から強い風が吹き、入道雲が瞬く間に大きく発達していった。



「雷雨が来るな。」



そう感じた私は車に避難し、直後の大雨をやり過ごす。



その後、雨は収まったが、流れの速い雲と、時々轟く雷鳴に躊躇(ちゅうちょ)

し、納竿した。


そして帰路、舘岩のとある山を見ると恐ろしい光景を見た。



「山が光っている...!」



雷雲に山の尾根が覆われて、稲妻が走る中に山頂があるのだ。



次の日の新聞朝刊で、この山の登山者に落雷死者が在ったことを知る。

樹木も低く、或いは全くない尾根付近では防ぎようが無かったのだろう。


判断を誤らなければ、麓(ふもと)では雷を待避することができる。


まず、頭部への直撃(=即死)を避けるため、樹高5.0メートル以上の木を

避雷針として選ぶ。そして幹から2.5メートル以上離れるのだ。

これをしないと、雷の側撃を受けることになる。樹木の表面の水滴を伝わる

落雷の軌道が、地面到達前に突然変わることは非常に多いのだ。


よくあるゴルフ場での落雷被害は、この場合が多い。


樹木の下に避難中、樹に寄りかかっていたり、休憩所の軒下での雨宿り中

に、屋根に落ちた雷の側撃を受けるのである。


近年は腕時計、ネックレス、ベルトの金具など、通電し易い物を身につけた

方が生存率が高いとの研究結果もある。

急所への致命的な感電を避けられるらしい。


落雷確率が上がる気もするのだが、手首の腕時計くらいは身につけたい。


だが、釣竿は非常に落雷し易いので、緊急避難時は離れた所に放置する。









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