筆者:アングラー 鈴木 幹○







第11話 北海道大雪山系トムラウシ山と美瑛岳の7月遭難事件



7月の夏山で登山者10人が凍死するという衝撃的な事件が発生。



執筆時、連日メディアで本遭難のニュースが配信され、警察もツアー会社の家宅

捜索を実施するなどの遭難原因究明へ向けての捜査を始めたところではあるが、

やがて本件概要も記憶の中では薄れてしまうと思い、自己資料とするために記す。





・遭難パーティ1:大雪山系4泊5日縦走ツアー・パーティ18人(内ガイド3人)



パーティ概要:旭岳〜トムラウシ山まで3日間45km縦走ツアーの中高年パーティ。

2009年7月16日〜17日未明、暴風雨に遭い、連日8時間〜10時間の山行の

最終にトムラウシ山を目指した縦走中に遭難。



登山口から山頂までが8時間以上かかる縦走を、悪天候の中決行。

当日朝の出発時は「気象予報により天候、昼には回復予定」とガイドが判断する。

避難小屋泊で16日中の山頂到達目指して朝5時半に出発したそうだが、生還者の

話ではその時点で危険な雰囲気を感じていたとのこと。


結局、当地では気温8度前後、風速20m〜25mの暴風雨に。

筆者の経験でも海・山の気象予報は急転、現地で警報に変わることは多々ある。



出発後は途中に避難小屋はなく、広い尾根では暴風雨をまともに受けることに。



やがて午前11時ごろ、山頂付近で女性1人が動けなくなり、ガイド1人と共に現場

に残る。他の16人は下山を続けたが、約1時間後、別の女性1人も意識不明に。



その後も、2人のガイドの下山ペースについていけず、脱落する人が相次ぐ・・・。

遭難現場では、脱落し消耗の激しい人は低体温症により意識を失い、夜間・未明に

凍死者が続出・・・。



結局、18人パーティーのうち8人(内ガイド1人)が死亡するという結果になる。

自力下山者は僅か5人。



トムラウシ山頂付近では、別の単独登山者1人も死亡。






・遭難パーティ2:美瑛岳登山ツアー参加者(女性3人・ガイド3人)



7月16日〜17日未明、時同じくして南西約15km地点にある大雪山系美瑛岳でも

遭難事件発生。

救助要請を出していた、このツアー参加者6人パーティでも女性登山者1人が死亡。

こちらは救助隊に合流してからの自力下山者は3人。



結果、大雪山系で全10人もの遭難死者を数える大惨事となった。



(その他、雑記)

遭難死者は59歳〜69歳の中高年者。

雨具は装着していたが全身濡れていた。

インナー類を含めて凍死者は薄着が多かった。











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